リーダーとマネージャーの違いとは?役割を定義、整理してみた

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「この人はマネージャーで、この方はリーダーで・・・」といった具合に、チームで行う仕事には、多くの場合、役割が決まっています。

もしそうした役割の定義が曖昧模糊だと、誰がどんな責任、権限を持っているのかがハッキリせず、プロジェクトが混乱しがちです。プロジェクトの混乱は、目標達成を遠ざけるばかりか、メンバー全体を不幸にしてしまうので、ぜひとも避けたいものです。 そうした混乱を防ぐためには、孔子が述べたように、「まず名を正す」=「言葉の定義をはっきりさせる」ことが重要です。誰が、どんな権限と責任をもっているのか、そこが曖昧だと、収拾がつかなくなります。 というわけで、混乱しやすいリーダー/マネージャー/プレーヤーについて、以下に定義を記載していきます。

リーダーとマネージャーの違い

リーダーは建築家で、マネージャーは建築業者に例えられる(スティーブン・コヴィー)

大きな方向性や将来像(ビジョン)を示すのがリーダーです。リーダーは、大義を成すための目的と、それを具体化した目標を立ち上げる役割を担っています。

その目標を実現可能なレベルに落とし、万難を排して実行するのがマネージャーです。よって、詳細の計画や細かい制御はマネージャーが担当します。

ですから、マネージャーがプロジェクトの最初にやることは、目的や目標を「予定」に落としこむことです。目標が予定に落とされないまま、目の前のタスクに忙殺され、何をどうしても目標達成が不可能になっているというプロジェクトも少なくありません。

リーダーシップとフォロワーシップ

ある方向を前として、先導するのがリーダー、ついていくのがフォロワーです。

よって、プロジェクトにおけるリーダーとフォロワーという観点では、「リーダー」と「マネージャー」はほぼ同義です。マネージャーは、リーダーが示した目的、目標を預かり、フォロワーに示すことが求められます。また、リーダーが示すビジョンや目標に問題があるときに諌めることも必要です。

リーダーシップとフォロワーシップの違いについてはあらためて記事にしたいと思います。

マネージャーとプレイヤー

マネージャーとプレイヤーの観点では、比較的明快です。

  • マネージャーは使用者、プレイヤーは労働者である。
  • マネージャーは仕事を振る人、プレイヤーは振られた仕事をまっとうする人である。
  • マネージャーは結果に責任を持つ人、プレイヤーは仕事の執行に責任を持つ人である。

実際の職場では、両方の責任範囲をもった「プレイングマネージャー」 と呼ばれるものもありますが、できればこうした人員配置は避けたいものです。

第一に、マネージャーの職務が疎かになります。多くの場合、マネージャーの仕事は片手間でできるものではありません。仕事を振り、リソースを管理し、リスクを未然に防ぐための対応を、プレイヤーと同じ職務をこなしつつ全うできる人はそう多くありません。 ときには、マネージャーが前線に出て手を動かさざるを得ないこともあるかもしれませんが、そもそもそれは戦略に失敗している証です。戦略ベースの失敗を戦術レベルで回収しようとしても、うまくいかないのが道理です。

第二に、プレイヤーの職分が侵害されるリスクがあるということです。 プレイヤーの職分が侵害されると、責任範囲が不明確になってしまいます。マネージャーがプレイヤーの仕事をすると、プレイヤーが持つべき権限、責任を侵害していることになります。 そうした状況では、プレイヤーは仕事の執行責任をとらなくなってしまいます(典衣、典冠の故事が示しているのもそういうことでだと思います)。別の言い方をすると、マネージャーがプレイヤーに業務の執行責任を負わせられなくなってしまうということです。

まとめ

  • リーダーは建築家。マネージャーは建築業者。
  • 目標を立てるのはリーダーの仕事。目標を予定に変えるのがマネージャーの仕事。
  • リーダーとフォロワーという観点もある。
  • フォロワーにはリーダーを諌めることも求められる。
  • マネージャーは成果の責任を持つ人。プレイヤーは業務の執行に責任を持つ人。
  • マネージャーは仕事を振る人。プレイヤーは仕事をまっとうする人。
  • プレイング・マネージャーは「戦略の失敗」の証左である。